拡張工事のため2021年まで閉館中
Palace Theatre|基本情報
住所: | 1564 7th Ave & W 47th Street, New York, NY 10036(地図) |
開業: | 1913年3月24日 |
収容人数: | 1,743人 |
座席表: | ※クリックして拡大![]() |
Palace Theatre 劇場の歴史
パレス劇場(Palace Theatre)の誕生について
1913年3月24日にサンフランシスコに拠点を置いていた劇団プロデューサーのマーティン・ベック(Martin Beck)は、当時東海岸のボードビル事業を独占していたKeith-Albee-Orpheum Corporation(キース・アルビー・オルフェウム)︎に対抗するためにパレス劇場を建て、ブロードウェイの劇場の中でも古くから存在している劇場になります。「ボードビル」とは フランス語の「vaudeville」が語源となっており、17世紀末にパリに出現した演劇形式で、米国においては舞台での踊り、歌、手品、漫才などのショー・ビジネスを意味します。ちなみ、現アル・ハーシュフェルド劇場は、マーティン・ベックのために設計され、1924年の開業当時から2003年までの約80年近くはマーティン・ベック劇場(Martin Beck Theatre)という名前で親しまれていました。
パレス劇場を建設したは良いものの、ボードビルを公演するためには、キースとアルビーが独占している独自の興行ネットワークが必要であったため、ベックはパレス劇場の所有権の4分の3をアルビーに譲る代わりにその独自ネットワークの使用許可を得ました。この為、実質劇場のオーナーはアルビーとなり、ベックは劇場の作品の予約などを担当することになりました。
パレス劇場に出演する事が最高のステータスだったボードビル時代
開業初公演にて当時コメディアンとして有名だったエド・ウィン(Ed Wynn)を主役に起用するも、最初の数ヶ月は赤字続きを経験する事になりましたが、徐々にボードビル劇場として知名度を上げ、ついにはパレス劇場に出演する事が当時の夢見る演者にとって憧れの的となりました。劇場のオーナーであったアルビー氏は、役者をパレス劇場に出演させてあげる代わりに、出演料の金額を下げる交渉をした事があると言われるほど、この「プレミア劇場」とまで呼ばれた場所で出演する事が成功への第一歩として認識されていました。
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世界大恐慌で転落。RKO Palaceからその後の復活まで
そんなプレミア劇場として注目を浴びていたパレス劇場ですが、輝かしい時代はそう長くは続かず、1929年の世界恐慌により終わりを迎えてしまいます。人々はボードビルに興味を持たなくなり、ラジオや映画などの新しいメディアの普及が影響した結果、1932年にパレス劇場は映画館へと転じ「RKO・パレス(RKO Palace)」と改名しました。時々ショービジネス復活のために公演を試みましたが、劇場復活までには至りませんでした。 1965年、デトロイトやシカゴを中心にミュージカルや演劇の劇場を所有するネダーランダー家のジェームズ・ネダーランダー(James Nederlander)が、パレス劇場に目を付けて購入し、多額の費用をかけて建設当初のオリジナルの真紅と金色を基調とした内装にて劇場内全体を修復しました。
この大工事の後にパレス劇場は アカデミー主演女優賞を受賞したシャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)、ポップシンガーのエディー・フィッシャー(Eddie Fisher)やダイアナ・ロス(Diana Ross)など有名歌手のライブで使用された事もあり、「スイート・チャリティー(Sweet Charity)」のオリジナル作品の公演で運営を再開した後、再度ミュージカル劇場として動き始めました。
1983年から1987年にかけてのロングラン公演作品「Mr.レディMr.マダム(La Cage aux Folles)」の公演、1994年からは5年間以上も続いたディズニー・ブロードウェイの人気作品「美女と野獣(Beauty and the Beast)」、トニー賞を受賞した「アイーダ(Aida)」は2000年から2004年の間に合計1,852公演を行うなど、徐々に劇場としての輝きを取り戻していき、公演作品の予約が立て続けに埋まるような人気劇場にまで復活しました。
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タイムズ・スクエアと共に進化しているパレス劇場
文字通り「Times Square(タイムズ・スクエア)のど真ん中」に位置するこの劇場は、タイムズ・スクエアの発展と共に進化してきた劇場です。
1980年代後半になると劇場上にホテルが建てられ(現:DoubleTree Suites by Hilton Hotel New York City)、NY市長ジュリアーニ氏による治安改善活動が1994年から始まると、タイムズ・スクエアは一気にニューヨーク観光の代名詞となりました。劇場入口はブロードウェイの看板で囲まれており、正面を見上げれば眩しいばかりの電光掲示板が24時間光り輝いて、25年前までスラム寸前だった場所とは思えない場所となっています。さらに2018年初旬から始まった大規模な改装工事(総工費:約2500億円)では、47丁目側に新しい玄関を追加し、劇場の高さも10メートル近く持ち上がるという事で、まだまだ進化が止まない劇場だと言えます。
Keith-Albee-Orpheum(キース・オルフェウム)について
パレス劇場のボードビル興行を支配していたKeith-Albee-Orpheum社は、ボードビル劇場の所有者 ベンジャミン・フランクリン・キース(Benjamin Franklin Keith)とボードビルの興行主であるエドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II)によって、1928年1月28日にデラウェア州で設立されました。Keith-Albee-Orpheum社は米国とカナダにおいてボードビル劇場と映画館700以上を所有、運営していました。ちなみに、ボードビルを広範囲において独占していた彼らは合計15,000人の役者たちをキャスティングしてきた、と言われています。
ベンジャミン・フランクリン・キース(Benjamin Franklin Keith)について
エドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II) とパートナーであったベンジャミン・フランクリン・キース(Benjamin Franklin Keith)は、1846年にニューハンプシャー州に生まれ、17歳の時に観劇したサーカス団に興味を持ち、1880年代初頭までサーカス事業に携わっていました。本格的にボードビル事業者としての始まりは1885年にボストンにあるビジュー劇場でエドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II)と共に運営を開始し、毎日朝の10時から夜の11時までバラエティに富んだショーを行いました。このボードビル事業は見事成功し、2人はニューヨーク、フィラデルフィアとボストンに更に劇場を作り、その後アメリカの東と中西部の小さな劇場も買い取っていきどんどん勢力を拡大していきました。
ボードビル衰退後のKeith-Albee-Orpheum社のその後
ボードビルの衰退により、Keith-Albee-Orpheum社はラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(RCA)に買収された後に、映画スタジオだったフィルム・ブッキング・オフィス(FBO)と合併され、ラジオ・キース・オルフェウム(RKO Pictures)に生まれ変わります。映画スタジオや独自の映画配給ネットワークを所有していたRKOは、スタジオ・システム成立の一翼を担い、映画産業を独占していました。ちなみに名前の後ろに「Radio Pictures」が付くのは、当時全米の一大ラジオ網を支配していたRCAが影響しており、合併当時RKO Picturesの株式を66%所有していました。その結果、この会社は映画だけでなくラジオ、そして後にテレビという、主要メディアをほぼ全て支配する事になります。
100以上のお化けが出没していると噂されているパレス劇場
ブロードウェイ劇場において幽霊やおばけが出ることは珍しいことではないですが、パレス劇場もその内の一つになります。人気がなくなった劇場内に謎のチェロ演奏者がオーケストラ席に現れたり、悲しい顔をしている小さな女の子がバルコニー席から会場を見下ろしていたり、茶色のスーツを着た男性がオフィス前を素早く通ったり、メザニン席付近の地面でトラックの玩具で遊ぶ少年がいたり、あの「オズの魔法使」で一躍ブレイクしたジュディ・ガーランドがオーケストラ席後方に現れたりなど、その証言は100以上にもおよびます。1935年8月28日の演奏中に18フィート(5.4メートル)の高さを落ちて首に怪我を負ったと言われているアクロバットのルイス・ボルサリノの幽霊も劇場に出没すると有名で、劇場が空のときにその幽霊が垂木から跳び移る姿が目撃されています。
Palace Theatreで上演された過去の作品
上演開始日 | 演目 |
1931年10月31日~1932年1月3日 | Eddie Cantor at the Palace |
1951年10月16日~1952年6月1日 | Judy Garland: Palace Two-A-Day |
1952年3月11日~4月6日 | Greco’s Spanish Ballet |
1952年4月12日~5月9日 | Betty Hutton and Her All-Star International Show |
1953年1月1日~1月1日 | Danny Kaye |
1953年10月14日~11月10日 | Betty Hutton and Her All-Star International Show |
1956年9月26日~12月15日 | Judy Garland |
1957年2月8日~3月10日 | Jerry Lewis at the Palace |
1966年1月29日~1967年7月15日 | Sweet Charity |
1967年7月31日~8月26日 | Judy Garland “At Home at the Palace” |
1967年8月28日~10月7日 | Eddie Fisher and Buddy Hackett at the Palace |
1967年10月23日~12月31日 | Henry, Sweet Henry |
1968年2月6日~3月30日 | The New Music Hall of Israel |
1968年4月10日~1969年4月26日 | George M! |
1969年5月2日~5月11日 | The Jimmy Roselli Show |
1970年3月30日~1972年7月27日 | Applause |
1971年3月28日~3月28日 | The 25th Annual Tony Awards – 1971 |
1972年10月2日~10月8日 | From Israel with Love |
1972年10月16日~10月21日 | Pacific Paradise |
1973年1月15日~2月4日 | Don Juan in Hell |
1973年5月13日~6月23日 | Cyrano |
1973年12月3日~12月23日 | Bette Midler |
1973年12月31日~1974年1月6日 | An Evening with Josephine Baker |
1974年1月27日~11月3日 | Lorelei |
1974年11月25日~11月30日 | Eddie Arnold |
1974年12月5日~1975年1月12日 | London Assurance |
1975年3月3日~5月31日 | Goodtime Charley |
1975年6月10日~7月19日 | The First Breeze of Summer |
1975年11月4日~12月14日 | Treemonisha |
1976年1月4日~1月4日 | Home Sweet Homer |
1976年4月19日~5月1日 | Shirley MacLaine |
1976年6月14日~7月3日 | An Evening with Diana Ross |
1976年7月9日~7月24日 | Shirley MacLaine |
1976年9月27日~10月2日 | Siamsa |
1976年11月30日~12月5日 | Herzl |
1977年2月24日~3月5日 | Caesar and Cleopatra |
1977年5月19日~7月10日 | Toller Cranston’s “The Ice Show” |
1977年9月15日~12月31日 | Man of La Mancha |
1978年1月31日~4月30日 | Elvis: The Legend Lives! |
1979年1月11日~3月4日 | The Grand Tour |
1979年3月28日~3月28日 | A Meeting by the River |
1979年4月29日~4月29日 | Break a Leg |
1979年8月3日~10月17日 | Beatlemania |
1979年12月13日~1980年8月24日 | Oklahoma! |
1981年1月4日~1月4日 | Frankenstein |
1981年3月29日~1983年3月13日 | Woman of the Year |
1983年5月2日~5月2日 | Parade of Stars Playing the Palace |
1983年8月21日~1987年11月15日 | La Cage aux Folles |
1987年6月22日~6月22日 | Happy Birthday, Mr.Abbott! |
1991年5月1日~1993年9月5日 | The Will Rogers Follies |
1993年12月260日~12月30日 | Candles, Snow & Mistletoe |
1994年4月18日~1999年9月5日 | Beauty and the Beast |
1999年12月8日~2000年1月2日 | Minnelli on Minnelli |
2000年3月23日~2004年9月5日 | Aida |
2004年12月17日~12月18日 | Linda Eder: The Holiday Concert |
2005年3月24日~9月25日 | All Shook Up |
2006年4月25日~5月28日 | Lestat |
2007年4月29日~2008年10月19日 | Legally Blonde |
2008年12月3日~2009年1月4日 | Liza’s at the Palace…. |
2009年3月19日~2011年1月2日 | West Side Story |
2011年3月20日~2012年6月24日 | Priscilla Queen of the Desert |
2012年11月8日~2014年1月5日 | Annie |
2014年6月19日~7月20日 | Holler If Ya Hear Me |
2014年12月29日~2015年1月4日 | The Temptations & The Four Tops On Broadway |
2015年4月12日~2016年10月9日 | An American in Paris |
2016年11月25日~2017年1月1日 | The Illusionists — Turn of the Century |
2017年2月9日~6月25日 | Sunset Boulevard |
2017年11月6日~2018年9月16日 | スポンジボブ |
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